紀行文の部屋

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いいな。いいな。八高線

まだコロナも下火だった2020年3月3日八高線に乗りに行った。

 

始発列車でまだ暗い八王子駅へ。

5:51、川越行の電車に乗り込む。名称上は八高線であるがこの区間に用はない。

本領を発揮するのが高麗川以降の非電化区間であることは一度乗った者なら誰もが認める所だと思う。

むしろこの八王子ー高麗川というのはいつも混んでいて、車両も無骨でいかにも郊外の路線という感じがしてどうも嫌だ。

 

隣にはファンデーションを叩くように塗りたくる、一種の哲学的化粧技術を身につけたおばさんが乗り、降りていった。

出庫したばかりだからか車両も底なしに冷えている。僕は同区間が東京近郊の素晴らしき路線・八高線の株を下げているように思えてならない。

現に学校で八高線を好むことを明かすと八王子に住む学友から

八高線が好きなのかい?!」と何か異質なものを見るような目で返された。

ムキになって「高麗川以降が良いんだよ!」と返すと

「そんな遠く行ったことない」と益々異様な空気になる始末。

 

八高線は混んでて短い電車が走る退屈な路線」

そんなイメージが世間一般に浸透してしまっているのである。

本当は何もない平地をディーゼルカーが走る素晴らしい路線なのにも関わらずだ!

 

川越線には悪いが同区間は同線に編入という訳にはいかぬだろうか。川越線なら一大観光地の川越を有するし不良路線を編入しても集客に何ら支障はないだろう。

 

30分に及ぶ苦行を経て遂に高麗川駅2両編成のディーゼルカーが入線して来た。

エンジンで暖められた車内はノーパンに暖ズボン、Tシャツにジャンバーというスタイルで凍えかけた筆者を一気に眠りにつかせる。

BOXシートから広がる畑と家と太陽光パネルの単調な車窓を短い気動車が淡々と走る。

そこにあるアクセントといえば遮断機のない踏切に鳴らす警笛と自動アナウンスくらい。都会暮らしに疲弊した社会人にとまではいかないけれど実に素晴らしくそして手軽に旅情を感じられる区間だ。

 

コロナ騒ぎで中止はされたものの、5月には久しぶりに同線をSLが走る予定であった。地味ではあるが

 

本題より悪口が長いのもどうかと思うが本当に素晴らしいものは言葉に残す必要がないのである。さあ、あなたも八高線GO