紀行文の部屋

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年末のムーンライトながら号 其の二

23:00頃、ながら号が入線。殺伐としていた10番線ホームから解放されるべく足早に車内へ。隣は大きなトランクを抱えた初老の男性であった。席に座り窓にもたれていると隣の男性は先客の後方客に断りを入れてからリクライニングをした。私もそれにならおうとしたが後方客が座る時にはすでに私が座席を倒していたし、今更断るのもおかしい。それに男性にならうのも気恥ずかしかったので一瞬の思考のうちにダンマリを決め込むことにした。

 

発車してすぐに検札を済ませると一気に眠気が襲う。ここで眠って浜松駅の長時間停車や闇を切り裂く爆音エンジンを味合わないのはいささか勿体ない気がしたが、本来の用途を考えれば豊橋駅近くまで眠ったのは正しい選択だったのではないかと思う。名古屋に着くとトランクを抱えた男性は下車した。男性の膝と前の席の背もたれとを隙間なく埋めたトランクのおかげで私はトイレに行く気も起きなかったわけであるが私が便が近く徹夜して駅に着くたび席を立つタイプの人間であったらお互い大変な思いをしたと思う。

 

5:45、まだ暗く雨が降る大垣駅に到着。思えば昨夏の初のながら号乗車の際も雨に降られた。残念ながら今度乗れる機会を指で数えて車内の過ごし方を熟考する必要があるほどに貴重な存在となってしまった夜行快速だが、弱冠14で2度も乗車の機会に恵まれたことに感謝したいと思う。コロナ渦で事実上の廃止となってしまったムーンライトながら号にもう一度乗りたい!そして、かつての淡い鉄道旅行を片鱗でもいいから味わい尽くしたい!この想いが今後しばらく僕を鉄道に向かせる原動力となることだろう。